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専門家パネル: ローカリゼーションリーダー達が2025年に どのようにAIを実装していくのか | XTM

 

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著者:Grce Cowan

 

2024年、ローカリゼーションの世界ではAIの可能性に興奮が渦巻いていました。しかし、その興奮を現実世界での結果に変えることができるでしょうか? それが難しい部分でした。
2025年に向けて、各チームは日々の業務でAIを実際に活用する方法を模索しています。
2025130日、私たちはこの問題に正面から取り組むために 4 人のローカリゼーション専門家と話し合いました。パネリストは次のとおりです:

  • Alessandra Binazzi(グローバリゼーション戦略コンサルタント)
  • Alison ToonCSAリサーチ シニアアナリスト)
  • Bruno HerrmannInternational Achievers Group グローバル・アドバイザー)
  • Ian Evans (XTM International CEO)

2025年、ローカリゼーショントレンドのハイライト

以下では、パネルディスカッションと聴衆の投票から判明した2025 年のローカリゼーションを形作る 3 つの大きなトレンドを紹介します。

 

1. AIは理論から実践へ

2024年、ローカリゼーションチームはパイロットを次々と実行し、 AIの可能性をテストしました。
会議ではAIの影響についての理論的な議論が活発に行われました。しかし、年が進むにつれて何かが変わりました。
Alessandra Binazziは次のように説明しています。

2024年はまさにPOCとパイロットの年でした。組織は単なる実験ではなく、急激な学習曲線に追いつき、これらのテクノロジーの適切な用途を見つけようとしていました。」

その実験段階は、より実用的なものへと移行しました。

ウェビナーの一環として実施したアンケートでは、ローカリゼーションリーダーの80%以上が、2025年の最優先事項として「実用的なAI実装とワークフローへの統合」を挙げました。
ローカリゼーション チームは次の 3 つの主要領域を優先しています。

 

運用実装

実験の時間は終わりました。リーディング企業は、本番環境に対応したソリューションを実装していっています。

これはAIツールを既存のワークフローに 統合し、具体的なビジネス成果  測定することを意味します。焦点は、何 できるかということから、何を確実に提供できるか へと移りました。

すべてを一夜にして変革しようとするのではなく、コンテンツの前処理や品質のチェックなど、AIによってワークフローが明らかに改善される対象ユースケースを選択することから始めます。 

AIがあなたのために働くようにすることであり、その逆ではありません。

 

進化する職務

AIは人間の役割を置き換えるのではなく、再形成するのです。

International Achievers Group のグローバルアドバイザーである Bruno Herrmannは、「新しいツールセット、スキルセット、考え方」の必要性を強調しています。

企業はAI出力の 品質評価、 迅速なエンジニアリング、 言語データ管理、そして AIプロジェクト管理に投資しています。

これらは単なる職位ではなく、AI機能とビジネスニーズのギャップを埋める新たな専門分野となります。

 

価値主導のアプローチ

焦点は AIの機能からビジネスへの影響へと移っています。

Irma は、AIの機能と限界を認識することから始めて、企業の準備を行う中で、最後に具体的なビジネス成果を通じて有効性を測定するという「段階的なアプローチ」を提唱しています。

この体系的なアプローチは、企業が 誇大宣伝サイクルを回避し 、 持続可能な実装に集中するのに役立ちます。

 

2. AIの言語能力の現実


AIはどんな言語ペアでも完璧に処理することを約束しました。しかし現実はもっと複雑です。

「公開されている大規模言語モデルのトレーニングに使用される言語データのほぼ半分は英語で、次にヨーロッパの主要言語がわずかながらあり、他の言語ではその割合はどんどん小さくなっていきます。」

と、CSAリサーチのシニアアナリスト、Alison Toonは説明しています。

この不均衡は、グローバル企業にとって重大な課題を生み出します。

 

言語ギャップへの理解

現在普及しているAIモデルでは、英語からスペイン語やフランス語などの一般的な言語ペアの場合、優れたパフォーマンスを発揮します。しかし、トレーニングデータが少ない言語ではパフォーマンスが大幅に低下します。

企業のローカリゼーションでは6070の言語が関係することが多いため、 普遍的なAIソリューションに頼ることはできません。

この課題を克服するには、既存の翻訳資産を活用することです。これには、長年にわたって蓄積された翻訳メモリ、用語データベース、スタイル ガイドが含まれます。

果たして結果は? 

ブランドと顧客に合わせたワークフロー。

リソースの多い言語にはAIファーストのアプローチを使用し、中間に位置する言語にはAIと従来のMTを組み合わせて対応し、あまり一般的でない言語には従来のアプローチを維持します。

 

従来の機械翻訳が依然として重要な理由

従来のMTはなくなることはありません。むしろ広範なツールキットの一部になりつつあります。

「大規模言語モデルを採用することで、従来のMTが時代遅れであると単純に言うことことはできません。大規模言語モデルはまだそこまでには至っておらず、各テクノロジーにはそれぞれ長所があり、特に主要なヨーロッパ言語以外においては長所があります。」

Alison Toonは強調しています。

重要なのは、それぞれのツールをいつ使用するかを知ることです。

  • AIはクリエイティブなコンテンツや文脈重視の翻訳に優れています。
  • 従来のMTは、依然として技術的なコンテンツやあまり一般的でない言語において信頼性が高くなっています。

ただし、プロジェクトによっては両方が必要になる場合もあります。
たとえば、グローバルWebサイトでは、わかりやすいサポートコンテンツと魅力的な顧客ストーリーを組み合わせることになります。

目標は、それぞれのテクノロジーの 長所を活用 しながら、短所を補うことです。

 

スマートな言語ついての決定

先進的な組織では、AIをやみくもに適用するのではなく、リソースを編成するための戦略的なアプローチを行っています。

方法は次のとおりです。

  • データ駆動型資産: 既存の翻訳資産 (翻訳メモリ、用語集、スタイル ガイド) を使用して、特定の言語ペアの AIパフォーマンスを強化します。
  • 市場固有の戦略: すべての市場に同じアプローチが必要なわけではありません。コンテンツの種類、対象者、利用可能な言語データなどの要素によって、AIと従来のツールの適切な組み合わせを決定します。
  • リソースの割り当て: 企業は、使用量の少ない言語に対して効率的なソリューションを維持しながら、優先度の高い言語ペアにさらに投資していきます。

「言語と言語ペアの成熟度が違いを生むでしょう」と、XTM InternationalCEOである Ian Evansは指摘します。「インテリジェンスを取り入れて、それをワークフローに組み込むべきです。」

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XTM AI Product Tour - XTM International (外部リンク:AI機能詳細ページ)

デモンストレーションをご希望の場合は、いつでもお問い合わせください。

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3. エラーカウントにとどまらない品質管理の進化

AIの台頭により、ローカリゼーションチームの品質に対する考え方が変わりました。

「フォーカスする点が本当に変化していることがわかります」とAlison Toonは説明しています。
「単にスペルミスを数えることから、言語とコンテンツに適用される真のリスク管理へ移行しています。」

この変化は、2025年に品質が何を意味するかについての理解が深まったことを反映しています。

 

品質への新たなアプローチ

従来の品質チェックは文法と用語に限定されていました。今日では、より包括的なアプローチが必要です。

  •  適切な翻訳ワークフローとレビュー要件を決定するために、コンテンツのリスクレベルを評価すること
  •  AI生成コンテンツがすべての市場で言い回しやスタイルに合っていることを確認するために、ブランドの一貫性を評価すること
  •  ローカリゼーションの品質が顧客エンゲージメントと販売実績にどのような影響を与えるかを追跡するために、ビジネスインパクトの測定をすること
  •  AI翻訳ツールを活用しながら機密情報を保護するために、データセキュリティを管理すること

「組織の上層部でも品質に注目しています」とAlison Toonは指摘しています。
「どのタイプのコンテンツを大規模言語モデル、機械翻訳、人間によるレビュー、または純粋に人間による翻訳で処理するのがよいかを評価するのに役立ちます。」

 

セキュリティが中心に

データ セキュリティは、品質管理において重要な部分となりました。
Alison Toonによると、セキュリティについての懸念は、今や基本的なデータ保護だけにとどまらないということです。 

企業は、 AI処理中に顧客データと機密コンテンツを保護しなければなりません。
コンテンツの出所と処理方法を明確に記録しておくことは、セキュリティとコンプライアンスにとって不可欠です。

AIシステムを通じてデータがどこにどのように流れていくか、についてもプレッシャーが高まっています。
企業はデータ所在地の要件に準拠し、コンテンツワークフローでAIをどのように使用しているかについて完全な透明性を提供する必要があります。

「数年前は、セキュリティは単なるチェック項目の一つに過ぎませんでした」とAlison Tooは説明します。
「現在、大企業にサービスを提供する場合、情報セキュリティに関する50100ページのアンケートが届きます。」

 

スピードとブランドの一貫性のバランス

企業はAI言語モデルに関してますます大きな課題に直面することになります。

従来のMTとは異なり、これらのモデルはブランドの言い回しに合わせて簡単にトレーニングすることができません。

「出力を制御するのが難しく、MTをトレーニングしたのと同じようにこれらのモデルをトレーニングするのは簡単ではありません。
  翻訳メモリを入力するだけで、あなたのように話し始めることを期待することはできないのです。」

Alessandra Binazziと説明しました。

 

解決策はバランスのとれたアプローチにあります。

  •  大量のコンテンツを迅速に評価し、適切なレビューレベルを決定するための効率性を高めるための自動品質評価
  •  AI出力がブランドの言い回し、スタイル、文化的ニュアンスを維持していることを確認するために、ブランド調整のための人間によるレビューを実施
  •  チームがAIツールをいつどのように適用するかについて一貫した判断を下せるようになるためのAIの使用に関する明確なガイドライン
  •  パフォーマンスの傾向を追跡し、改善が必要な領域を特定するための定期的な品質ベンチマークの実施

 

引用元:https://xtm.cloudc/blog/localization-trends-webinar-highlights/

 

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