Translation Management System(TMS:翻訳管理システム)とは?①
はじめに
どの業界、どの組織においても「業務の効率化」は至上命題です。
古くは紙や製品自体を手渡しで依頼していましたが、私が働き始めた頃は「フロッピーディスクやMOをバイク便で送る」というのが最先端の仕事のやり方で、その後インターネットの発達により、今ではデータのやり取りもネットを介して行われ、仕事の依頼も電話ではなくメールが主流となりました。
しかし、コピペ、ショートカット、スクリプトの利用などを駆使しても、手動によるメールでのやり取りではやはり限界があります。
そこでさらなる業務の効率化・自動化のために注目されているのが、「Translation Management System(TMS:翻訳管理システム)」です。
TMSには翻訳業務に必要なことがほぼ含まれているといっても過言ではありません。
ここでは数回に渡って、
- TMSとは?
- 手動で翻訳業務をハンドリングする際の問題点とTMSによる解決策
- TMS導入の際の考え
を自身の経験を含めて、詳細にお伝えしていきたいと思います。
TMSとは?
明確な定義はありませんが、我々が考えるTMSに含まれる機能についてご説明します。
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案件のDB化
案件登録には以下の情報が含まれます。
- 言語セット
- 案件ID
- 案件名
- 見積もり番号
- 案件のステータス
- 担当PM
- サービス内容
- ワークフロー内容
- 分野
- 登録日
- 開始日
- 納品日
- クライアント名
- 通貨
上記以外にも項目を追加することが可能です。
我々も分野の次に「サービスの種類(マニュアル、ウェブサイト、IR文書、特許、会社案内、マーケ文書など)」や「サーバーのパス」などを追加で登録しています。
こういった情報を登録することで、様々な統計情報を得ることが出来ます。
- どの分野を何件やったのか?
- どの種類の案件が何件あったのか?
- どの言語セットだったのか?
- ワード数/文字数は?
翻訳に合わせたシステムなので、知りたい情報をすぐに得ることが可能です。
以前勤めていた会社では、扱っていたサービスが翻訳業務だけではなかったので、案件の登録をするシステムも翻訳業務に特化しているわけではありませんでした。
なので、営業チームやお客様から「昨年の処理文字数は?」「〇〇分野の案件の対応件数は?」「どの分野、種類の案件が増加傾向?」などの統計的な質問に答えるのに一苦労でした。
それが「XTRF」のような大規模TMSを利用すると、簡単にはじき出せるのです。
このDB化された情報は各PMの業務管理にも有効です。
PMが担当する案件は1件や2件ではありません。
繁忙期には10件くらいの案件が同時進行することもあるでしょう。
そんな時の案件はどうしているのでしょうか?
どの案件をどの翻訳者・チェッカーに依頼していて、入稿はいつか?納期はいつか?ファイル形式は?などの情報を自分自身で管理しようとする場合、これまでは各自がExcelなどに案件情報を入れていって、管理せざるを得なかったと思います。
往々にして、手動で入力していると入力ミスがあったりすることで、依頼忘れ、納期割れが発生してしまうこともあったことでしょう。
もしそれらの登録や手配をTMS上で行うことが出来れば、システム上で自分の名前でソートすることで案件管理が可能になります。
案件情報を再度打ち込みなおす必要がないので、必然的に入力ミスが起こりません。
このように、セールス活動のための情報収集においても、自社の案件の分析のためにも、翻訳に特化したDBがあることはとても効率的だと思われます。
次回は「ベンダー管理機能」について説明していきます。